【IT】強いAI、弱いAIの違い

強いAI・弱いAI


近年急速に成長を遂げている「AI」。メディアやSNSなどでも多く話題を集めてる存在ですね。

自ら学習し考えるAI、音声を認識するAI、絵を書くAI、囲碁やチェスをするAIなど、どれも興味深いAIばかりです。

 

そんなAIですが、最近一般人の間でも「強いAI」「弱いAI」についての存在が注目されるようになってきました。「強いAIってどんな攻撃してくるの?」「AIに支配される日が来るのでは…?」など、様々な億層により多くの不安を読んでいるのが現状です。

 

そこで、今回はそんな「強いAI」「弱いAI」のそれぞれの特徴について解説していきたいと思います。本当にAIは人間の脅威となるのか、AIに支配される日が来てしまうのか。真相に迫っていきましょう。

 

そもそも「AI」の定義とは


本題である「強いAI」「弱いAI」について解説する前に、まずは「AI」の定義について触れていきます。

私たちが何気なく耳にしている「AI」という存在。あなたはこの存在について詳しく解説することができるでしょうか?

「人間と同じ知能を持つロボット」「賢いコンピュータ」「ドラえもんのようなロボット」など、人により認識が違うと思います。まずはAIの定義について把握しておきましょう。

 

AIの定義は明確ではない

私たちにとってもはや珍しいものではなくなったAI。人間のように話す、囲碁をする、車を運転する、モノを見て認識する、など現在は様々な「AIと呼ばれる存在」が溢れています。

ただ、それぞれ特徴は一致せず、得意とする分野・不得意とする分野に大きな差があります。共通点がほとんど見られないようなAIも存在しているほどで、結局「何を以ってAIとするのか」をよく分かっていない方がほとんどなのではないでしょうか?

 

しかし、「何を以ってAIとするのか」について曖昧なのは一般人の間だけではありません。有名な研究者、開発者においてもAIの定義についてはバラバラで明確ではないのが現状なのです。

例えば「プログラム通りに情報処理が行えれば人工知能と呼んで良い」とする研究者がいれば、一方で「人間のように感情表現できなければ人工知能とは呼べない」とする研究者もいます。

 

そのため「AIとは何なのか」といったシンプルな疑問さえも結局は曖昧で、私たち一般人がよく分かっていない、というのは当然のことと言えます。

ただ、一般的にはAIは、ディープラーニングや機械学習などによる「自ら学習する行為」や「情報・問題の認識・処理」「物事の予測・推論」「計画」「最適化」などのような、人間の知的な要素をコンピュータで置き換えることができればAIである、といった定義が一般化されています。

 

本記事はこの定義に基づいて解説しますので、ご理解ください。

 

強いAI・弱いAI


ここからは、AIにおける「強い」「弱い」の違いについて解説していきます。それぞれの違いや特徴について迫っていきましょう。

 

強いAIは現在存在していない

「強いAI」と聞いて、あなたは何をイメージするでしょうか?

攻撃的な兵器としての物理的な強さを持つAI。もしくはあらゆる分野において完璧にデータの処理・分析などが出来る「人間をはるかに超えた知能」を持つAI。

初めて「強いAI」という言葉を耳にする人の多くがこうしたAIをイメージします。しかし、どちらも強いAIのことではありません。では一体どういうAIなのでしょうか?

 

強いAIとは一言いえば「人間そっくりの知能を持つAI」です。

例えば、人間のように喜怒哀楽の感情を持ち、嘘をつく。また、交渉において妥協したり、人間のように「物忘れ」をする。こうした人間の特徴を究極に模倣したAIを強いAIといいます。アニメや映画の世界で言えば「ドラえモン」「ドクタースランプのアラレちゃん」「鉄腕アトム」などと似ていますね。

 

このように、人間そっくりの知能を持つAIを「強いAI」として定義されていますが、現在はまだ開発されておらず、存在していません。

 

今後も強いAIが開発される可能性は極めて低い

AIの研究は50年以上にも渡って行われてきているが、強いAIへの完成には至っておらず、そしてその可能性そのものも極めて低いといわれています。

その理由としては「そもそも人間の知能が解明されていない」ということが挙げられるのです。

 

基本的に現在、進化し急成長を遂げているAIの多くは人間の脳を模して造られたものであり、人間の脳機能に似通った特徴を持つAIがほとんどです。

「考える」「分析する」「学習する」といったAIの能力は、人間の脳を模倣したからこそ実現できたものです。

 

しかし、現段階では「人間の知能」については、科学的にも医学的にも解明されていません。そのため「知能」をAIに模倣させることが事実上不可能なのです。

強いAIを開発するにはまず人間の知能を解明する必要があり、これには膨大な時間が必要とされることが容易に想像できます。

これにより、今後強いAIが開発される可能性は極めて低いと言われているため、少なくとも近日中に強いAIが世に広まるということは無いでしょう。

 

今存在しているAIのすべては「弱いAI」

今存在しているAIは数えきれず、数千種類が存在しているといわれています。そんな膨大な数のAIですが、実はそれらのすべてが「弱いAI」なのです。

高性能なAIといえば「人間と会話をする」「危険を察知できる自動運転」「データの認識・理解」などが挙げられますが、どれも専門的な知識・技術を要するAIです。

専門的な面ではそれぞれ人間より優れた能力を持つAIですが、どれも「弱いAI」として分類されます。人間同様の知能を持たず、自分で判断してアクションを起こさないAIであるため、強いAIにはなりません。

 

「弱い」という表現によって「能力が劣っている」といったイメージを抱きがちですが、実際には特定の分野においては、人間をはるかに超える能力を持ちます。そして、人間が苦手とする分野をAIに置き換えることによって生活もビジネスも円滑に進むことは間違いありません。

例えば人間が苦手とする「短期記憶」「計算」など、こうした分野はAIの得意分野ですよね。さらに、記憶した情報を自ら認識して分類したりするなど、人の手でプログラムを入力しなくても、AIが自力でアクションを行います。また、それらの工程を重ねて自ら学習し、性能向上を図ることが可能となるのです。

弱いAIは今後もどんどん進化していき、性能の向上や対応分野が広がっていくことなどが予想出来るでしょう。

知能の有無が「強い」「弱い」を分ける


上述した通り、AIの「強い」「弱い」を分けるのは、人間同様、もしくは人間に近い知能を持っているか否かがカギとなります。

喜怒哀楽を理解し、物事や世界の常識を理解し、さらには人間に対して妥協や嘘をつくなどの行動をする。これが人間の求めている「強いAI」の姿です。

 

しかし、今存在しているAIはすべてが「弱いAI」。強いAIが誕生するのはまだまだ先のことになるといわれていて、強いAIが私たちの生活の中に浸透する日は遠いことが予想されます。

「人間がAIに支配されるのでは」といった不安が飛び交う現在ですが、実際には人間の知能そのものも解明されていないという「根本的な部分」が解決していないので、そのような不安を抱く必要はないといえるでしょう。

 

まだ見ぬ「未来のAI」に脅威を抱くのではなく、性能が向上されていく現在のAIに関心と興味を向けてほしいですね。